四十肩・五十肩・肩関節周囲炎への正しい対処法
ある日突然、”ゴジュウカタ”に出合う…
それは、ある日突然に始まったような気がします。
肩こりは日常だったのですが、右肩の関節周りが痛くなってきたのです。
寝ようと思っても痛みでなかなか眠れない。
どんな姿勢を取っても楽な状態がなく、寝返りも打てない。
痛みで睡眠が浅い段階で目が覚めると、もう眠れない。
実は前年には左肩が痛くなりました。
そのときは、ある動作が元だと思ってある程度納得できる痛みだったのですが、いつの間にか治まっていました。
(一応病院へ行き、レントゲンを撮り、痛み止めの薬をもらっています)
右肩の方は、直接的な原因は考えられませんでした。
これって、「ごじゅうかた」というやつ?
他人事と思っていたのに・・・。
はっきりさせるために、まずは病院へ行こうということで、整形外科を受診しました。
レントゲンを撮った後に診察。
骨に異常はなし。可動範囲は?どこが痛い?
「注射を打ちましょうか。楽になりますよ」
「お薬を出しておきます。様子を見ましょう」
「五十肩」=「肩関節周囲炎」‥?
ある日突然ということは、突発的ということですが、これは原因不明ということを意味しています。
一般的には「五十肩」と呼ばれます。
これは、江戸時代の俗語辞典の「俚言集覧(りげんしゅうらん)」に記載されたのが最初と言われています。
ちなみに、江戸時代の平均寿命は40歳前後ということから、「長寿病という」ともあります。
欧米でこの病気を最初に記載したのはフランス人のデュプレーで、彼の業績に敬意を表して、「肩関節周囲炎」ともいいます。
「肩関節周囲炎」は、中年世代、特に50代に多く発生する、肩関節の痛みと動きの制限(拘縮)をともなう病気の全体を指しています。
肩関節とその周辺組織に炎症を生じさせるため、その部位と炎症の程度によっていろいろと症状が異なります。
40代以降、そして50代に多く見られるこの肩関節の疾患は整形外科医の中でも解釈が曖昧ということで、いろいろ呼ばれてきています。
ただし、現在では「広義」と「狭義」の2つのとらえ方が一般的です。
広義の定義では肩関節周囲炎と同じです。
狭義では疼痛と拘縮を伴う凍結肩(とうけつかた)のことを言います。
※「凍結肩」は、国際的に普及している「frozen shoulder」の和訳です。
※疼痛(とうつう)とは、ずきずき痛むこと。うずき。(デジタル大辞泉)
※拘縮(こうしゅく)とは、関節に原因がなくて、関節が動かなくなる状態のことです。(デジタル大辞泉)
(特記)
日本で保険病名として認められているのは「肩関節周囲炎」であり、五十肩も凍結肩も保険病名としては認められていません。
症状の現れ方
症状と時期によって、3段階に分類されます。
・急性期~ズキズキした痛みが最も強く現れる
安静にしていても痛みは強く、夜間に激しいのが特徴。
・慢性期~疼痛は軽くなっているが運動制限(拘縮)が残っている
腕をあげていく途中で痛みを感じる。
・回復期~関節拘縮が改善する(動くようになる)
肩関節周囲炎という病名を知っている人は少ないのではないでしょうか。
中年以降(とくに50代)になって、急に肩が痛くなり、その後腕が上がらなくなるという症状の病気を多くの人が患うのですが、やがて時の経過とともに痛みも治まり、やがて以前のように動くようになる(通常回復経過には、1年前後を要するとされています)ことから、単に五十肩だからと軽く捉えて、ただ我慢して時が過ぎるのを待つと言うのは賢明ではありません。
痛みをがまんして無理に動かすとよけいに肩を痛めることがあります。また、逆に動かさずにじっとしていると肩の動きがますます悪くなってしまうこともあります。
平均約7年後にも半数の患者に何らかの痛みや可動域制限が存在していたとの報告もあるそうです。
安静にして、自然治癒力(時の経過)に任せるだけでなく、きちんと医師の診察を受け、経過と医師の指示の下で、積極的に痛みと可動域制限を改善する治療が必要です。
基本になるのは、薬物療法、温熱療法などの「保存療法」です。
「保存療法」というのは、手術以外の様々な治療を言います。
●薬物療法
薬による治療法ですが、薬といっても大きくは「消炎鎮痛薬」の使用と患部に「注射」をする方法がとられます。
消炎鎮痛薬は一般に「痛み止め」と呼ばれる薬で、湿布、内服薬、座薬などがあります。
炎症を沈め、痛みを早く抑えるための方法が患部への注射になります。
関節注射でよく使われるのは、本来滑液の成分であるヒアルロン酸です。
より即効性を求めて使用されのがステロイド剤ですが、抗炎作用が強力な分、副作用にも注意が必要です。
●温熱療法
温熱療法の目的は肩の血行を良くすることです。
肩が温まり、血行が良くなると、組織の新陳代謝が活発になり、痛みのもととなる化学物質が取り除かれやすくなります。
また、筋肉や関節のこわばりがとれて、動かすのが楽になります。
温熱療法は患部の冷えによる血行不良が原因で痛みが悪化しているケースで特に効果を発揮します。
こうした機器は細胞のより深い部分まで温めることができるので、家庭で行う簡易な温熱療法よりも高い効果が得られます。