ランナー膝(腸脛靱帯炎)の症状と改善
ひざの痛みを訴える人の約90%は、変形性膝関節症が原因と言われていますが、他に膝の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)があります。
腸脛靱帯炎はランニングによる膝障害の代表です。
別名
・腸脛靭帯摩擦症候群(ちょうけいじんたいまさつしょうこうぐん)
・ランナー膝(ランナーズニー)
とも呼ばれ、太ももの骨の外側に位置する靭帯 ─ 腸脛靭帯に炎症が起きている病状を指します。
ランナーズニーと呼ばれるゆえんは、走ることが多い人が発症しやすいからです。(ランニングによる膝の関節周辺の障害全般の総称として使われることもあります)
最近は、ランニングブームもあってか市民ランナーの間でも症状を訴えるケースが多くなっているようです。
そのほか、腸脛靭帯炎が発症しやすいスポーツとしては、バスケットボール、陸上競技、自転車、水泳、トライアスロン、登山、スキー、エアロビクス、バレエなどもあげられます。
【症状】
ランニングなどにより膝の屈伸運動を繰り返すことで、腸脛靭帯が膝の外側の骨(大腿骨外顆)との摩擦を受けて炎症を起こし、痛みが発生する症状です。
走っている時や走り終えた時に、膝の外側が痛む
(初期のころは、休むと痛みがなくなります)
患部を指で押した時に痛む
無理をして症状が進行してくると、痛みは徐々に大きくなり、なかなか治まらなくなってきます(慢性化)
さらにひどくなると、痛みで膝の曲げ伸ばしもままならなくなり、膝を伸ばしたまま歩くといった状態になります。
【原因】
もっとも大きな原因は、オーバーユース(過剰なランニング時間と距離)にあります。
それに付随して、運動前のウォームアップ不足、硬い路面や下り坂での走行、底の硬いシューズを履いての走行もひざに負担を増す要因となります。
変形性膝関節症でもそうですが、O脚の人は足の外側で体重を受けるので、、腸脛靭帯の緊張が高まります。
【治療】
保存療法が原則です。
初期の段階では、安静第一で、アイシングストレッチで効果があるようです。
その後は、さらに消炎鎮痛剤の投与や、超音波などの物理療法が行われます。
※痛みが取れない場合、局所にステロイドを注射をする。
※手術を必要とすることはほとんどないが、腸脛靭帯の一部を切り取る手術をすることもある。
※膝関節外側部での疼痛を主症状とする、外側半月板損傷との鑑別が必要です。