ギャグはともかく、力自慢の象徴として俗にいう二の腕の「力こぶ」は上腕二頭筋と呼ばれます。
二頭筋と言われるのは、短頭筋と長頭筋2つの筋肉で構成されているからです。
長頭筋は、肩甲骨(肩甲骨関節上結節)につながっていますが、そこを起点として腕に達するまでにとても複雑な経路を経ています。
肩の関節の中を通って外側に出てくるののですが、その際に結節間溝という骨にある「へこみ」を通る形になります。
上腕二頭筋長頭筋の腱がこの「へこみ」を通っていることから、二の腕を使いすぎると、骨との摩擦などによって炎症を起こす場合があります。
この長頭腱の炎症が上腕二頭筋長頭腱炎です。
上腕二頭筋腱炎は、ふたつの頭のうちの主に、長頭の部分で起こると言われています。(上記経路を通っていることがその理由です)
具体的な症状としては、
<炎症時の症状>
肘と肩をまっすぐ伸ばそうとすると肩の前側(結節間溝部)に痛みを覚え、また投球動作において二の腕から前腕部にかけて広範囲に痛みがあります。
夜間痛が主な症状です。
この痛みにより、重いものを持ち上げたり、腕を外側に向ける動作に制限が出てきます。
上腕二頭筋長頭腱炎は、野球やバレーボール、水泳、テニスなどオーバーヘッド動作を繰り返し行うスポーツでよく発生すします。
また、中高年の場合では、特に運動をしていなくても肩関節周囲炎の一つの症状として発生する場合もあるようです。
原因としては、上記のようにその構造上の問題により、ストレスが繰り返し起こることで、炎症が起こりやすい状況にあることが一因です。
※炎症や刺激が繰り返し起こることで、徐々に弱化していき変性した結果、断裂に至る場合があります。
<断裂時の症状>
肩から上腕にかけて痛みがある。
肘前面に腫れや皮下出血がみられる。
力こぶが肘近くに現れる。
上腕ニ頭筋長頭腱炎の対処方法
上腕ニ頭筋長頭腱炎は、いわゆる筋肉の使いすぎで起きる症状ですので、炎症をおさえ、筋肉を休めてほぐす必要があります。
アイシングや抗炎症剤などで痛みや炎症を抑える保存的治療が施されます。
炎症が治まってきたら、可動域訓練や段階的な筋力強化訓練を徐々に進めていく運動療法を行います。
※上腕二頭筋長頭腱が断裂した場合、それ以外の上腕二頭筋腱と肘関節屈曲に働く他の筋群があるため、多少の筋力低下ありますが、機能上は問題がなく、完全に断裂してもそのままの状態で保存的治療が施されることがほとんどです。
痛みが激しく、急性の場合は整形外科を受診しましょう。
肘と肩の痛み改善 ケガをしないで勝てる投手になる