変形性膝関節症が進んでくると、炎症によって「ひざに水が溜まる」こともあります。
ここで言う「水」というのは、ひざにもともとある関節液(滑液とも)のことです。
関節液は、関節内の滑膜(かつまく)という部分で作られていて、通常は一定の量を保ちながら、ひざのなめらかな動きや関節軟骨の栄養に大切な役割を果たしています。
「ひざに水が溜まる」とは、
何らかの原因で、滑膜が炎症を起こすと、バランスが崩れ多量の関節液がひざ関節内に分泌されます。(ひざのお皿の上部に溜まります)
変形性膝関節症の場合は、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激することで、関節内に炎症が起こり、腫れや痛みが生じてきます。
その他、関節リウマチなどの関節炎や病原菌の感染による関節炎、痛風(ツウフウ)などの代謝性の関節炎によっても水がひざに溜まることがあります。
このように関節液の量が異常に増えてしまう病状を関節水腫(かんせつすいしゅ)といいます。
関節内に水が溜まるほどに、関節内部の圧力が上がり、関節が不安定になり、更に関節液の分泌を促進するという悪循環に陥ります。
関節水腫の治療
[1]まず、悪循環の元になっている溜まった水を取り除く処置をします。
具体的には膝に注射針を刺して関節液を抜く「関節穿刺(かんせつせんし)」が行われます。
①関節液を調べる 原因となる病気が変形性膝関節症がどうかを調べます。 ②症状の悪化を防ぐ 水を抜くことで、膝関節の働きをよくします。 ③ヒアルロン酸の注入 水を抜いて関節液内のヒアルロン酸濃度を高めることで、症状を改善します。
ひざに水がたまり、たまった水を抜いても、再び水がたまってしまう場合があります。
結論から言えば、水を抜いて癖になることはありません。
水が溜まること自体は生体の防御反応ですので、水を抜く抜かないにかかわらず「炎症」を抑えなければ、水は溜まり続けることになります。
つまり、「癖」になったのではなく、水がたまる原因となった炎症が治っていないということです。
むしろ、水を放置すれば関節への負担が増し、症状の悪化を引き起こすだけです。
消炎鎮痛薬やヒアルロン酸の関節内注射によって炎症が治まれば、自然と水は溜まらなくなります。(→[2]炎症を抑える)
(例えば、風邪が治れば鼻水も出なくなります)
[2]水が溜まる原因である「炎症」を抑える
ひざの水を抜くだけでは、一時的なものです。
再び水がたまるのを防ぐためには、炎症を抑える処置が必要です。
上記のように、炎症が発生する原因は様々ですので、それぞれに合った治療法をとることが大事です。
主な治療法としては、
ホットパックや電気刺激などによる物理療法(保存的治療法)
消炎鎮痛剤やヒアルロン酸関節内注射などの薬物療法(保存的治療法)
外科的治療法である手術
があげられます。