ヒアルロン酸を補って、変形性膝関節症の痛みの悪循環を断ち切る
ヒアルロン酸の関節内注射とは?
(図はイメージです)
変形性膝関節症に対して行われる保存療法の一つに、ヒアルロン酸の関節内注射があります。
ヒアルロン酸そのものは、私達の目や皮膚、リンパ液などに多く含まれる成分で、とくに関節液には多く含まれています。
ヒアルロン酸はねばりけのある物質で、細胞や周囲の組織に適度な潤いを与え続けています。
(体内の水分を保つ物質といえます)
そのすぐれた保水力は、1グラムで6リットルの水を保持できるほどです。
なめらかなひざの曲げ伸ばしができるのも、階段から降りたときの衝撃を吸収してくれるのも、関節液にヒアルロン酸があるおかげだといえます。
残念なことに、その量は年齢とともに減っていき、潤滑油としての働きも低下していくので、ひざの痛みの悪化の一因となります。
ヒアルロン酸の関節内注射は、ひざの関節内にヒアルロン酸を注射することによって、減少したヒアルロン酸を補う治療法です。
正常な関節液に近い高分子量のヒアルロン酸が効果的です。
軟骨が残っていて、痛みが比較的軽い場合に行われます。
「傷ついた軟骨を保護する」
「関節の炎症を抑える」
「関節の痛みを和らげる」
「関節の動きを良くする」
ことを目的としています。
一般的な治療では、1週間に1回の注射を5回続けて行います。
様子を見て、痛みが続くようならば、その後2~4週間に1回のペースで注射を続けていきます。
実際の痛みとしては、採血をするときの痛みに近いです。
最近は注射針も細くなってきていますので、ちょっとチクッと感じるぐらいでしょうか。
もっともひざの痛みに比べたらほんの一瞬です。
(注意点)
注射したあとは、注射した場所をもんだり、不衛生な手で触ったりしないこと。
入浴やシャワーは避ける
急激な運動はしないこと。
治療開始時は、週1回の注射を5週間連続で行いますが、それで痛みが消失すれば治療完了です。
それでも症状が残る場合は、2週間から1ヶ月に一度の注射となりますので、それほど頻繁に注射をするわけではありません。
ヒアルロン酸はもともとひざの関節に含まれている物質であり、変形性膝関節症のひとは、ヒアルロン酸の量も濃度も減っています。
高分子のヒアルロン酸を注入することは、ひざ関節を正常な状態に近づけることになります。
これらは、強い胃酸で分解されてしまうなどの理由で、その効果を証明する明確な医学的根拠が示されていません。
また、軟骨は非常に回復しにくい組織であることで、サプリメントで軟骨を回復させることは難しいと思われます。
また、錠剤を飲んでヒアルロン酸を補充するというサプリメントもありますが、その効果は医学的に立証されていません。
サプリメントの中には、「保険機能食品」と「一般食品(いわゆる健康食品)」があります。
「保険機能食品」は、科学的にその効果が証明されたものです。
現在、国内ではひざ関節の症状改善効果がある「保険機能食品」はありません。
ヒアルロン酸は、飲んでも強力な胃酸により分解されてしまいます。
一方、直接にひざ関節に注入されたヒアルロン酸は、胃酸による分解を受けることはありませんので、痛みを軽くしたり、炎症をやわらげるといった効果をあらわします。
1)変形性膝関節症に関するNHKテキスト「きょうの健康」綴込PRより